Christmas Rose
「ふふっ…」
まるで子供のようにはしゃぐシドの姿にアリスは思わず笑ってしまった。
「どうした?」
「…いえ。でも、私シドのそういう感情を素直に表に出すところが好きです。」
ここへ来て、シドの妻として側にいて彼の性格がよく分かった。
シドは真面目に公務もこなしているし、剣術や馬術にも長けている。
一見完璧そうに見えるが、自分一人で判断せず、大臣達の意見もよく聞いている。
辛い時は辛いと、たまには側近に愚痴を漏らしたりする。
人懐っこい性格で誰にでも気さくに接する。だが、次期国王としての威厳は兼ね揃え、ここぞという時はキッパリとした決断力がある。
彼こそ、国王に相応しいと最近心から思うようになっていた。
「…私は何でも完璧にしなければと思って、やりたい事があっても口にしないで我慢し、それが知らない間に自分でも驚くほど心の中に溜まっていった。」
アリスはシドを見上げた。
「…だから、素直なシドが好きです。」
アリスの言葉に、シドは手で口を覆った。
あれ…顔が赤い?
そして、顔を見られないようにアリスを抱きしめた。
「…それは、反則だろ。」
そう小さな声で呟くと、アリスに口づけを落とした。