Christmas Rose
「…アリス!」
翌朝、シドに差し伸べられた手を取り、太陽が雪に反射してキラキラと輝く外へ出た。
一面の銀世界が広がる中アリスとシドは馬車に乗り込み、離宮へと向かった。
「寒くないか?」
「大丈夫。」
馬車の窓から見えるギルティの城がどんどん小さくなっていった。
そういえば、結婚してから城を離れるのは初めてだ。
「…離宮の隣にある池でスケートが出来るんだ。」
「それは楽しそうね。」
アリスも久しぶりにこんなにワクワクした気分になった。
そして、この時母国の事を少し忘れる事が出来ていた。
ガタンッ
暫く走った後、馬車は小さなお城の前に止まった。
建物自体は古く、城はツルで覆われていた。
「…ここが離宮。。」
「毎年春には貴族を招いて舞踏会が行われるんだ。」
同行させた数人の召使い達が荷物を降ろした。
「さぁ行こう。」
シドと共に離宮の中に入っていった。
「わぁ。」
離宮の中は古いが趣があり、アリスは一目で気に入った。
暖炉の火をつけると部屋がパッと明るく照らされた。
テーブルの上に一枚の写真が飾られていた。
写真に写るのは10歳くらいの少年だ。
これって…
「ねぇ、これはシド?」
アリスが問いかけると、シドは写真を手に取った。
「ああそうだ。昔ここで音楽会を開いた時に撮ったんだ。」
アリスは写真を手に取り眺めた。
子供の頃のシドを見たのは初めてだ。
シドに案内されて、離宮の中をあちこち見て回った。
「…アリス、遠乗りに出ないか?」
「うん!!」