ガーデン・クロニクル~ゼロ歳からの冒険譚~



「はい、ーーーー。ラティアーーーだね」



ラティア――――多分、それが私の名前。

金色の人は、ニコニコしながら私の頭を撫でてから、空になった食器を持って部屋から出ていった。


あの人が、この世界での私の親なんだろうか。というか、男か女かもよく分からない。

声が低いから男のような気もするけれど、普通、赤ん坊の世話って母親がするものなのに。



「……だぁー、ぁああ、あーあぅ!」



あの人がいなくなった途端に、不安感がこみ上げて、涙がこぼれそうになってしまう。



「あーう!あぁーうう!」



17歳だった私の記憶はあっても、やっぱり、赤ん坊の体に心まで引っ張られてる。

側にいてくれないと、不安で、不安で、たまらない。



「はいはい、ーーはーーーー」



戻ってきた金色の人の大きな手を抱き抱えるように握ると、ふっと体が持ち上げられた。



「ーーーー、ーーーーー」



金色の人に抱っこされて、安心して、訪れる眠気にそのまま従う。

穏やかな子守唄に包まれながら、私はゆっくり、眠りについた。


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