ガーデン・クロニクル~ゼロ歳からの冒険譚~
死ぬっていうのは、終わりと同じ意味だ。
死んでしまえばもう生き返らないし、そこでその人の人生は終わる。
大切にしてた財産や大事な人も、いい記憶も悪い記憶も、死んでしまえば水泡に帰していく。
輪廻転生があるとしたって、それ個人の人格が引き継がれる訳じゃない。私が思うに、前世の自分も来世の自分も、そして現在の自分も、それは全くの別人だ。
私は私だし、死んでしまえば「私」は終わる。来世は無い。生まれ変わった来世の私がいたとしても、それは決して私じゃない。
完全な終わりだ。
死んでしまえば、そこで私は終末を迎える。
ところで、ウロボロスって知ってるかな。
自分の尾を飲み込んで、大きな輪っかになっている蛇、それがウロボロス。
ウロボロスの頭を始まり、尾を終わりとするなら、自分の尾――即ち自分の終わり――を飲み込んだウロボロスは、さっきの話を根底から覆す存在だ。
ウロボロスにとって、終わりとは始まりなのだから。
――――この物語は、さながらウロボロスの尾に辿り着いたところから始まっているのかもしれない。