ガーデン・クロニクル~ゼロ歳からの冒険譚~
「ラティアは女だぞ。我輩の口調が移ってしまうのは、如何なものかと思ってな」
「あぁ、それで、そんな喋り方を、してらっしゃるのですか……」
「そんなに驚いたか」
「ええ、それはもう、大森林の木が枯れ果てたかと……」
「汝は常に大袈裟だ」
「私めでなくとも、このくらい驚きます!」
「騒がしい」
なんだか、随分と仲が良いみたいだ。
もしかして、ヘケイトさんが私の母親だったりするんだろうか。
「それで、ヘケイト、本題なのだが」
「はい、なんなりとお申し付けを!」
「大した用ではない、ラティアの、系譜を見れるか」
「系譜……ですか?」
系譜、とはあまり聞き慣れない単語だ。というか、初耳である。
「確か、今日で三歳でしたよね?お言葉ですが、時期尚早ではごさいませんか?」
「何故に、そう思う」
「系譜を見るには、それ相応の魔力を通さなければなりません。ですが、三歳ではまだ気門は開いていません。……角があれば、また、別ですが……」
「角があれば、な。では汝、これを見てみよ」
そう言ってダディーは私の前髪をかきあげる。それを見て、ヘケイトさんは目を見開いた。
「魔力の渦が……!?でも、ラティアちゃんは“角無し”の筈では!?」
「魔力の動きが見える者などニンゲンには滅多におらぬ。出てきてないだけで、ラティアも確かに角があるのだ」
「も、もっと早くに教えてくださっても良いのでは?」
「言ったところで何か変わるわけでもなかろう」
「それもそうですけどぅ……まぁ、承りました。系譜を見るので、よろしいですか?」
「あぁ、頼んだ」