年下わんこに要注意
「高木さん。今回は私だから良かったですけど、他の女性を相手にする時にはちゃんと見極めた方が良いですよ。勘違いされてちょっとした騒動にでもなったら危ないし。」
至って真面目に言ったつもりだったが、彼には全く響いていないようだった。
自分が魅力的な存在だという自覚が無いのかもしれない。
「昨日あんなに教えたのに。俺の事"はるくん"って何度も呼ばせたの忘れたの?」
今それを言いますか……
「だから、それはその場のノリみたいなもので、もう終わった事なので」
「何言ってんの?」
先程までずっと優しかった彼が途端に厳しい雰囲気を見せてきたので驚く。
「ゆいちゃん、逃がしてもらえるとでも思ってるの?俺はゆいちゃんを彼女にしたいから誘ったの。」
「………へ?彼女?」
とんでもない方向へ話が進んでしまっている。
私はただイケメンに誘われて嬉しいな〜くらいにしか思っていなかったのだ。
まさかそんな展開になるなんて困る。
だって、私は次に付き合う人とは結婚を前提じゃないと付き合わないというか、付き合えないと思っていたのだ。
31歳で、遊びの恋愛ができるほどの余裕は残ってない。
確か彼はまだ26歳くらいだったと思う。
その歳で結婚している人も勿論いるとは思うが、まだまだ遊びたい盛りだろう。
「高木さんの気持ちは嬉しいですけど、私次に付き合う人とは結婚前提じゃないとちょっと…」