年下わんこに要注意

ゆっくり揺さぶられる感覚でまた意識が戻る。

………あれ?

目を開けると同時に目頭に溜まっていた涙が零れた。
悲しい訳ではなく、ただ体が耐えられなくて溜まっただけの生理的なもの。

「………結菜、泣くなって……、怖かったのか?」

今度は彼が座ってベッドの背に体を預けながら私を膝に乗せていた。

私の意識が戻ったのが分かったのか、彼は揺するのを止めてちゅっとキスをする。


「……はるくん……。」

「…ん?」

繋がったまま彼の唇は私の胸に吸い付く。

そこには今日付けられたばかりの跡が浮かんでいる。

「…はるくんは、私のこと好きなの…?」

「……急にどうしたの?」

「……。」

「…俺はゆいちゃんが大好きだよ。ゆいちゃんといると凄ーく癒される。だから、練習にも付き合ってあげてるのに。」

「……でも……どうして……」

「さぁ、どうしてだろうね…?」

彼は教えてくれないまま私を抱きしめる力を強めた。

彼の言う"大好き"というリップサービスに危うく引っ掛かりそうになってしまった。
危ない危ない。
男の人は(しかもこんな遊び慣れてそうなイケメンは)理由のない"大好き"なんていくらでも言えるだろう。

鵜呑みにしてはいけないことは分かっている。

それでも嬉しくて私も彼を抱きしめる。


「そんな事より、さっき俺の名前呼ばずに意識飛ばしたからお仕置きだよ。」



え……
そんな理不尽なお仕置き存在するんですか…



そのまま今日も私は彼のされるがまま。
よく分からないまま、たくさん "ごめんなさい" と "大好き" を言わされたような気がする…



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