年下わんこに要注意


「……はい。そうですけど…。」

「本当に高嶺の花って存在するんですね。」

「…………は?」

彼は至ってにこにこと楽しそうだが、皆は呆気にとられている。
そりゃそうだろう。

私なんかが高嶺の花なんて……。そんな事言ってくれるのは君ぐらいだよ、お兄さん。


嬉し涙を押さえながら、「ありがとう」とだけお礼をいう。
社交辞令のお褒めの言葉は有難く受け取る主義だ。

彼は社内でもそれなりに人気があり、度々女性陣から食事に誘われていると噂されている。

そんな男性に褒められて悪い気はしない。

例え社交辞令であってもだ。


顔は整っているし、いつも清潔感あるスーツ姿は好印象だ。
スラリとしたスタイルをしているが、シャツをまくった時に見える腕は中性的な顔とは反してガッチリしている。

彼がこのテーブルに来たことで、同じテーブルにいる20代の女性達が先程から明らかにうきうきしている。こんな風にときめく若さっていいな〜なんて他人事のように思っていた。



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