way of life


「ぷ、プリンセス!」

「あははっ、ごめんって。でも、よく似合ってる」

「まったく・・・あなたって人は・・・」



本来なら、咎めることをせず楽しんでもらいたい。
梨乃のこの笑顔を大切にしたい。

そう思いながらも。
教育係という自分の立場では、そうもいかずもどかしい気持ちになる。



「この仮面は、年に一度この国で開かれるお祭りの時に使う物なのですよ」

「お祭り・・・?」

「かつてこの国は、飢餓に苦しんでいました。人々は苦しみ、悲しみに暮れ誰の表情も暗かった」




もし、自分が教育係という立場ではなければ。
こんな堅苦しい勉強のような話もせず。



「人々は、笑う事の出来ない現状に、自分の代わりにこの仮面に笑みを託しこの仮面をかぶって復興を祈願したのが始まりだと言われています」

「自分の代わりに、仮面に笑ってもらう・・・。そっか。だからどの仮面もこれ以上ないくらい笑ってるんだ」

「それが今でも、お祭りとして受け継がれているのです」




ただただ、楽しいひと時として笑い合えただろうか。






< 160 / 507 >

この作品をシェア

pagetop