way of life
「すごいな・・・、ここまで立ち直ったんだ・・・」
ぺらぺらとページをめくりながら呟く。
挿絵では、飢餓で苦しんでいた当時の様子が描かれていた。
土地は荒れ果て、今を生きるだけで精一杯の人々。
隣国へ逃れようとする人が多く、国民は減少していった。
それでも、諦めなかった人たちが田畑を耕し、自給自足ができるところまで持っていった。
ゆっくり、それでも着実に活気を取り戻していき、今に至る。
梨乃が見たこの城下は、笑顔が溢れていた。
活気にあふれ、人々は楽しげに生きていた。
カタカタッ
カーテンを閉めた窓の外から小さな物音。
梨乃は一瞬顔を上げたが、気のせいかと首をかしげ本へと視線を戻した。
勉強に集中し文字を目で追っていく。
そんな梨乃に近づくあやしげな人物がいた。
「っん!?」
真っ先に梨乃の口を抑え声を塞ぐと、そのままベッドに引き倒した。
梨乃の膝の上から本が音を立てて地面に落ちた。
突然の事に恐怖を覚えながら、梨乃は必死で抵抗する。
バタバタと動かす手足を、手際よく手や身体を使いおさえこもうとする。