way of life
「静かにしろ」
ドスのきいた声に、身体を震わせる。
それは男の声。
ギリギリと口を押える手に力が込められ、苦しみに顔を顰める。
逃げなきゃ。
梨乃は強く思った。
人質になってはいけない。
皆の、迷惑には・・・。
プリンセスとして、まだ自立もできていないのに。
こんな足手まといにまでなるわけには。
再び必死で抵抗を初め、ずれたタイミングで大きく口を開け男の手を噛んだ。
「っ!」
痛みに男の手が怯んだ瞬間、梨乃は逃げるため身体を無理やりに起こしベッドから落ちるようにして逃げた。
「てめぇ!」
「ひっ!」
逃げ出した梨乃のナイトドレスの袖を掴み引っ張る。
怒りに任せた男が、引き戻した梨乃を思い切り拳で殴りつけた。
その衝撃で梨乃は気を失いベッドに倒れこむ。
切れた唇から血が一筋流れベッドに染みを作った。
「手こずらせやがって」
険しい表情で男はそういうと持っていたロープで梨乃の身体を縛り上げた。
そしてそのまま、梨乃を抱え上げると入ってきた窓から軽々と梨乃を抱え飛び降りる。