way of life


「考えられるのは、内部の人間がこの犯人と内通している。もしくは実行犯という線ですね」

「はい。我々の部屋に催眠ガスを充満させることができるんです。内部の者と手を組んでいなければ不可能に近い」



クロウの推理に同意するようにロイが続ける。
頭を使うことが苦手なシドは黙って二人の考えを聞く。
急く気持ちを抑え、今できることをする。

梨乃を助けるために。
そう自分に言い聞かせて。



「一つ、いいか」

「ん、なんだ、シド」

「この国は、エスターンの配下にある国だろ。そんな国の奴らがこんなことする理由ってなんだよ。普通に考えてヘルスター王国からの刺客とかの方がピンと来るんだけど」

「もし、ヘルスター王国からの刺客なら、なおさらこんな他国の城の中での襲撃は難しい。もし襲うにしても道中の方がリスクは低い」

「そうか?」

「まぁ、実行犯が刺客というのはあり得る話だ。しかし、必ずこの城の内部に手引きした者がいる」




敵しかいない場所に乗り込むにはそれほどのリスクが伴う。
しかし、その敵の中に味方がいれば。

多少のリスクはあるが、許容範囲内だろう。




< 169 / 507 >

この作品をシェア

pagetop