way of life
「しかし・・・、確かに腑に落ちないんですよね」
クロウが口元に手を当て思案しながら呟く。
「城内の者が手引きしたという前提でいえば、なぜそのようなことをする必要があるのか」
「どういう事だよ」
「城で襲うというのは、リスクしかないんですよ。自身の仕える城でだなんて。それこそ道中に襲った方が断然いいはずです」
「そうか・・・。例えうまくいったとしても、結局エスターン王国には知られてしまう。そして、それで責を問われるのはその者が仕えている国王だ。忠誠を誓っているものが勝手な行動を起こす事は考えにくいという事ですね」
「しかし、この城で襲う必要があった」
それはなぜか。
必死で考える。
「道中、襲えなかったとしたら」
「はい?」
思いついたようにシドが呟く。
「今回の公務って、結構小規模で来てんだろ?普通はもっと騎士とかも多くて仰々しいんじゃねぇの?」
「それは、そうですが。今回の訪問は、特別的な視察でした。公務とはいえ、言っていませんでしたが、プリンセス自身の勉強の一環としてでしたので、小規模での訪問にしたんです。それが?」