way of life
「ですが、ご安心ください。我が国には優秀な騎士団がついております。決してプリンセスを危険に晒すようなことはありません」
不安に表情を曇らせた梨乃にクロウがそう言い切った。
梨乃は小さく頷いて見せると、再び地図に視線を映した。
「あの、魔術師って本当にいるんですか?」
「ええ。もちろんです。ですが、魔術を使える者はほんの一握りでして。プリンセスを異世界に飛ばし術をかけるという大がかりの術を使える者は一人しかおりません」
「一人・・・」
「いずれ紹介いたします」
聞けば聞くほど梨乃にはゆかりもなく、にわかに信じられないものばかり。
戦も、魔術師も、すべてが受け入れがたいものばかり。
知らなければ何も始まらない。
そう思って尋ねてみたが、知ったところで答えなどでなかった。
ただ不安だけが無闇に増えただけだった。
「お部屋に、戻りましょうか?」
「え・・・あ・・・、うん」
「焦らずゆっくり慣れていけばいいですよ」
クロウは、そう言って地図を片付けた。