way of life
「・・・シド・・・?」
梨乃は、動揺したように揺れるシドの瞳を不安そうに見つめる。
シドは、グ、と歯を食いしばると自分の上から梨乃をおろした。
「シ、シドっ」
「・・・俺は、戻らない」
「え・・・、どうして・・・」
「戻れない・・・」
シドは、自分に言い聞かせるようにそう言うとフラッと立ち上がり立ち去ってしまう。
時が止まったように固まってしまった梨乃は、ハッと我に返った。
「待って!シド!お願い!」
ここで手を放してしまったらだめだ。
わかっていたのに。
見えなくなる背中が。
どんどん遠くなっていく。
「シド!」
「――――プリンセス!」
喧噪の中ようやく梨乃に追いついたクロウが梨乃を呼んだ。