way of life
梨乃はひとり、そっと会場を抜け出しバルコニーに出ていた。
会場からは賑やかな声が漏れ聞こえる。
あの日以来ユリネに会った。
ユリネはなにもなかったように笑ってた。
シドは・・・、一度も目を合わせてもくれなかった。
もう、戻ってくる気は、ないという事だろう。
頭の中で繰り返すその想いに、胸を痛める。
強くありたいと願うのに、強くなりきれない自分が情けなかった。
少し冷たい風が梨乃の身体をすり抜けていく。
「プリンセス。身体に障ります。中に戻りましょう」
側で梨乃が落ち着くのを待っていたクロウは優しく声をかける。
争いの時に負った傷は、傷は塞がったがまだ、梨乃の肩に痛々しく残っている。
肩口の隠れるドレスで包帯は隠れているが、あまり無茶をできる状態ではなかった。
しかし、一刻も早く安泰をと、無理やり強行した今回のパーティーだった。
「・・・梨乃」
クロウの言葉に動こうと振り向いた梨乃を呼ぶ声に、足を止めた。
その呼び方に、その声は。
梨乃はギュッと拳を握りしめ、振り返った。