way of life


一度、梨乃が熱を出した日に訪れたシドの事は、熱に浮かされて見た夢だと思っている梨乃。
話すこともなくこの日を迎えてしまったことが、苦しい。

この発表を終えれば、自分はレノン王子の婚約者となる。



もう、シドへの想いも忘れなければならない。



プリンセスである梨乃と、騎士であるシド。
側にいたとしても、その想いが通じ合うことはなかったかもしれない。


それでも。
この日、自分の側で護ってくれるのがシドでないことがこんなにも悲しい。



騎士としてでもいい。
せめて側に・・・。



後ろに控えているロイをチラリと振り返る。




最後に、好きだと伝えたかった。
それはきっと、ただ自分が楽になりたいからで。


自分一人で抱え込むには大きくなりすぎた気持ち。




それでも、忘れなくては。
ユリネと誓った。
シドを幸せにすると。


シドの笑顔を作ると。





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