way of life
「今日は、お集まりいただきありがとうございます」
拡声機を使い国民に声を届ける。
レノンの澄んだ声が国内に響いた。
「今、こうして皆の笑顔や喜びの声があるのは、ここにいるエスターン王国のプリンセスのおかげです。長らく続いたヘルスター王国との確執が今、払拭され新たな未来を造りだしてくれました」
誇らしくそう語るレノンの言葉に、国民は一層喜びの声をあげた。
盛り上がる会場、歓喜の声が鳴りやまない。
梨乃は、その声の大きさに胸を打たれ思わずこみあげてくる涙をぐっとこらえた。
「プリンセスは、この国のために。この国の人々のために、たくさんの事を犠牲にして、辛い思いも、苦しい思いもしまいこみ。ここまで懸命に走って来られた。シルスタの王子として20年も生きてきた僕なんかよりずっと、国のために」
「レノンさま・・・」
「プリンセスだから、王族に生まれたのだから当然。そう思う人もいるかもしれません。ですが、ただそれだけで、ここまで人は動けるでしょうか」