way of life

しらなかったのはただひとり



「えっ、じゃあ、本当に知らなかったの私だけなの?」



式が終わり、広間に集まりこれまでの詳しい話を聞いた梨乃は驚きの声をあげた。
そう。
シドがこうして梨乃の婚約者としてやってくることは誰しもが知っていたのだった。



「サプライズの方が、喜ばれるかと、王さまのご配慮です」

「は、配慮って・・・」



複雑な気持ちで梨乃が呟く。
どれ程の覚悟をして挑んでいたか・・・。

それでも、皆のその気持ちは嬉しかった。



「本当に、シドはよく頑張っていたよ。マナーのレッスンから、勉強まで弱音も吐かず寝る間を惜しんで」

「レノンさま・・・」

「その姿を見たら、僕も頑張らなきゃと思ったくらい」

「でも、レノンさまは、本当にいいんですか?」



本来なら、レノンがエスターンの王位を継承することになっていた。
それは、とても誉れであり、誇り高きことだ。




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