way of life
「出発の目途が立ちましたので、行きましょう」
「あ、はい」
しばらく、会話のないまま静かな時を過ごしていた二人は、クロウの呼び掛けにより立ち上がった。
馬車に乗り込み席につくと、しばらくしてゆっくりと馬車は動き始めた。
すっかり言葉数の少なくなってしまったシドに、肩を落とす梨乃。
いったい、なにを想っているのかわからず、なにも聞けずにいた。
「目的の場所には30分もしないうちにつくと思いますよ」
今回は、一緒に乗り込んだクロウが、雰囲気を変えるため話しかける。
「そうなんだ」
「はい。しかし、今日はもう宿に入るだけになってしまいそうですが」
「うん・・・。もう日が傾いてきてるもんね」
先ほどの襲撃に結構な時間をとられてしまい、すっかり夕方になってしまっていた。
残念に思いながらも、まだ日程はたくさんある。
「海沿いにある宿ですので、ベランダからの景色は絶景だと思われますよ」
「わ、楽しみ!」