way of life
梨乃は嬉しそうに声をあげた。
しかし、それでもシドだけは、難しい表情で黙り込んでいたままだった。
「少しだけでも町が見て回れたらいいな」
「そうですね。少し見て回る分には問題ないと思いますから。着いたら、町を見てみますか?」
「うん。ね、シド。そうしよう?」
梨乃が明るい声で話しかけると、シドがハッとしたように目を見開く。
「あ、ああ。そうだな」
シドは取り繕うようにそう言って笑った。
梨乃は、にっこりと笑って頷く。
それからは、少しずつシドも会話に入るようになり、あっという間に目的地に着いた。
「わぁ!潮の匂いがする」
「海が近いですから」
「海は明日行ってもいいんだよね?」
「もちろんです」