way of life
「どうぞ。お口にあうか、わからないけれど」
「あ、ありがとうございます・・・」
差し出されたマグカップを見て、目を見張った。
「ごめんなさいね。お客様用のカップにしようかと思ったんだけど・・・」
「い、いえ・・・可愛いカップですね・・・」
「ええ。いつ買ったのか覚えていないんだけどね。ずっとだれも使っていなかったからお客様に使ってもらおうと思って」
動揺を悟られないように笑ってそのカップを手に取った。
これは、梨乃が自分で買ったマグカップだった。
雑貨屋で一目ぼれして買って来たもの。
マグカップなんて何個もあるのに、と言われたことを思い出した。