way of life
「いけません!プリンセス!その男は!」
追いついたロイが険しい顔で梨乃の腕をとった。
「その男は危険です!離れてください!」
「いやよ!シドは危険なんかじゃない!勝手に決めつけるのはよくないわ!」
「決めつけなどでは!事実です!プリンセス!」
「事実かどうかは、私が決める!私は今、彼と話したいの!」
ロイの忠告も、梨乃には通用しなかった。
聞かない梨乃に、ロイは苦々しい表情を浮かべ掴んだ手を放した。
その手を腰に隠している短剣の柄にかける。
いつでもシドに振り切れるようにと。
「シド。手当はちゃんとしてもらえた?ケガは?もう治ったの?」
「・・・お前には関係ない」
「関係なくない!私はシドがケガをしたことを知っていて、心配してたの。治ったかどうか知る権利はあるわ」
「とんだお転婆なプリンセスだな」
「え?」
シドは梨乃の肩に手をかけるとどかすように梨乃の身体を動かした。
そしてそのまま歩き出す。
「シド」
「俺の名を、勝手に呼ぶな」
そう言うと振り返ることなく行ってしまった。