way of life


「跡も残っていないようだね」



梨乃は、医務室で腕の包帯をほどいてもらっていた。
無事に怪我は治り医務室通いも今日にて終わることになっていた。




「ありがとうございます。やっと治ったぁ」

「これに懲りたら、あまり無茶をなされないように」

「・・・はい」




にっこりと笑いながら、それでも有無を言わさぬような強い口調で側で見守っていたクロウが言う。
バツが悪そうに顔を顰めながら梨乃は肩を竦めた。




「プリンセス。紹介したいものがいます」

「紹介・・・?」

「はい」



クロウはそうとだけ言うと梨乃の先を歩き出した。
首をかしげ、梨乃はクロウについて歩き出す。

クロウは廊下を歩き階段を下りると大きな扉の前で立ち止まった。
この先は、騎士たちの訓練場だと聞いた気がすると、梨乃は思いながらクロウを見上げる。


クロウはゆっくりとその扉を開いていく。
その隙間から、活気のある声が漏れ聞こえてくる。


今は、訓練中のようだった。




< 77 / 507 >

この作品をシェア

pagetop