やさしい先輩の、意地悪な言葉
とはいえ、すぐに神崎さんに対してアタックできるような性格じゃないことは、自分が一番よくわかってる。
なので、自分の気持ちにはっきりと気づいてから二週間経つけど、私と神崎さんの関係になにも変化はない。
でもこの二週間、隆也との関係も、よくも悪くもなにもなかった。
隆也からはなんの連絡もなく、私からも当然なんの連絡もしなかった。
お互いに連絡をしないまま、二週間が過ぎていた。
あの夜は怖い思いをしたけど……隆也も気持ちが落ち着いたのかもしれない。
このままなにもなければいいな……なんて思っている。
そんなある日のことだった。
「祐介となにかあった?」
書庫室で、二山さんに頼まれたファイルを探していると、となりで待っている二山さんにボソッと聞かれた。
書庫室にはふたりきりで周りに誰もいないけど、突然そんなことを聞かれて、普通に焦ってしまった。
私が慌てて「え⁉︎」と聞き返すと。
「なんかあいつ、最近ちょいちょい遥香ちゃんのこと気にしてるんだよな。それもおかしいくらいに」
「え?」
「融資課が忙しそうな日に遥香ちゃんの心配しだしたり、遥香ちゃんが書いた書類を見て、『瀬川さんって字かわいいよね』とか言い出したり、この前なんか突然、『瀬川さんって前髪切ったらかわいいと思わない?』とか言い出したり」
「え、えっ」
ど、どういうこと。私が一方的に神崎さんのことを気にしているだけで、神崎さんは私のことなんてなんとも思ってないはずなのに……。
なので、自分の気持ちにはっきりと気づいてから二週間経つけど、私と神崎さんの関係になにも変化はない。
でもこの二週間、隆也との関係も、よくも悪くもなにもなかった。
隆也からはなんの連絡もなく、私からも当然なんの連絡もしなかった。
お互いに連絡をしないまま、二週間が過ぎていた。
あの夜は怖い思いをしたけど……隆也も気持ちが落ち着いたのかもしれない。
このままなにもなければいいな……なんて思っている。
そんなある日のことだった。
「祐介となにかあった?」
書庫室で、二山さんに頼まれたファイルを探していると、となりで待っている二山さんにボソッと聞かれた。
書庫室にはふたりきりで周りに誰もいないけど、突然そんなことを聞かれて、普通に焦ってしまった。
私が慌てて「え⁉︎」と聞き返すと。
「なんかあいつ、最近ちょいちょい遥香ちゃんのこと気にしてるんだよな。それもおかしいくらいに」
「え?」
「融資課が忙しそうな日に遥香ちゃんの心配しだしたり、遥香ちゃんが書いた書類を見て、『瀬川さんって字かわいいよね』とか言い出したり、この前なんか突然、『瀬川さんって前髪切ったらかわいいと思わない?』とか言い出したり」
「え、えっ」
ど、どういうこと。私が一方的に神崎さんのことを気にしているだけで、神崎さんは私のことなんてなんとも思ってないはずなのに……。