やさしい先輩の、意地悪な言葉
「で、話戻るけど。
うまくいくかわからない片想い思いに、なんでそんな執着できるかわかんないんだよね。
それよか、自分のこと好きな女の相手した方が、尽くしてくれるしヤらるし、むしろいいことしかないじゃん」

「……」

尽くす。確かに、隆也には付き合ってた頃からいろいろしてあげていた。隆也が欲しいと言った時計とかバッグとかプレゼントしたり、ご飯作るために仕事帰りに隆也の家に通った時期もあった。
それらが隆也にとっては“好きな女の子からしてもらってること”じゃなくて、“自分のことを好きな女が勝手にやってくれてること”だと思われてたと思うと悲しいけど……でも、それらはあくまで私が自分の意思でやってたことで、隆也には脅されて無理やりさせられてたとかではないから、そのことで隆也を責めることはできない。

でも。


「だからさ、お前も片想いなんて時間のムダづかいやめろよ。んで、今なら頭下げれば許してやるから、俺のとこ戻ってこい。お前のほかにも遊んでる女いるけど、料理うまいやつがお前しかいねーんだよ」

「……」

「好きになってはやらねーけど、ちゃんとセックスはしてやるし、恋人は無理でもペット扱いくらいはしてやる。だからさっさと……」

「……片想いはムダな時間なんかじゃないよ」

私の反論に、隆也の片眉がぴく、と上がる。


怖いけど、でも…….隆也がなんと言おうと、もう隆也のもとに帰るつもりはないから、自分の気持ちをはっきりと伝えなきゃ。
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