やさしい先輩の、意地悪な言葉
「え……あ、そうなんですね」
「それで、話聞いてたらやっぱり元カレっぽいなと思って。それで……待ち合わせの場所も聞こえてたから、なんか、心配になってつい来てしまって」
「そうですか……ありがとうございます」
私がまた隆也のところに戻って、隆也の“都合のいい女”にならないように心配してくれたんだろうな。神崎さんはやさしいから……。
「自分から瀬川さんのこと突き放しておいて、こんなのどうかしてるって思うけど……」
「そんなことないですよ。さっき、元カレにも言ったんです。……私の好きな人は、私のことをとても大事にしてくれる、って。もちろんそれは異性としてじゃなくて会社の後輩としてですが、私はそれもうれし……」
言いながら、私は言葉につまった。
私が言いたいことは、ほんとにこんなことなのかな? って思ったから。
もちろん、今話したことは全部神崎さんに伝えたい感謝の気持ち。それは間違いない。
でも、今言いたいのは。今一番言いたいのはーー……
「好きです」
私は小さな声で、でも確かに伝えた。
「え?」
神崎さんが聞き返す。ちら、と神崎さんを見ると、驚いた表情をしていた。恥ずかしくなって、また目をそらすけど……それじゃ気持ちは伝わらないと思い、私は真っ赤になってるだろう顔をあげ、神崎さんをまっすぐに見つめた。
「……好きなんです。神崎さんのことが。
私、気づいたんです。自分を解放してあげる方法は、自分の気持ちをはっきりと元カレに伝えることなんだって。
前に、神崎さんが言ってくれました。『自分のことを大事にしてあげてね』って。
私は、自分を大事にする方法が、たぶんよくわかってなかった。
でも、今ならわかります。
自分を大事にする方法は、自分を解放してあげることと同じだから、自分の気持ちをはっきり口にすることが、自分を大事にすることって言えるんだって」
「それで、話聞いてたらやっぱり元カレっぽいなと思って。それで……待ち合わせの場所も聞こえてたから、なんか、心配になってつい来てしまって」
「そうですか……ありがとうございます」
私がまた隆也のところに戻って、隆也の“都合のいい女”にならないように心配してくれたんだろうな。神崎さんはやさしいから……。
「自分から瀬川さんのこと突き放しておいて、こんなのどうかしてるって思うけど……」
「そんなことないですよ。さっき、元カレにも言ったんです。……私の好きな人は、私のことをとても大事にしてくれる、って。もちろんそれは異性としてじゃなくて会社の後輩としてですが、私はそれもうれし……」
言いながら、私は言葉につまった。
私が言いたいことは、ほんとにこんなことなのかな? って思ったから。
もちろん、今話したことは全部神崎さんに伝えたい感謝の気持ち。それは間違いない。
でも、今言いたいのは。今一番言いたいのはーー……
「好きです」
私は小さな声で、でも確かに伝えた。
「え?」
神崎さんが聞き返す。ちら、と神崎さんを見ると、驚いた表情をしていた。恥ずかしくなって、また目をそらすけど……それじゃ気持ちは伝わらないと思い、私は真っ赤になってるだろう顔をあげ、神崎さんをまっすぐに見つめた。
「……好きなんです。神崎さんのことが。
私、気づいたんです。自分を解放してあげる方法は、自分の気持ちをはっきりと元カレに伝えることなんだって。
前に、神崎さんが言ってくれました。『自分のことを大事にしてあげてね』って。
私は、自分を大事にする方法が、たぶんよくわかってなかった。
でも、今ならわかります。
自分を大事にする方法は、自分を解放してあげることと同じだから、自分の気持ちをはっきり口にすることが、自分を大事にすることって言えるんだって」