やさしい先輩の、意地悪な言葉
二年間付き合っていた中で、隆也本人や周囲の人から、隆也のそれまでの恋愛の話を聞いたこともあった。

隆也は私と付き合う前に何人もの女の子と付き合ってきていたけど、飽きっぽい性格なのもあり、私以外の女の子の中では、一番長く付き合った子でも、四ヶ月もたなかったらしい。

だから、途中で浮気されたとはいえ、二年以上隆也と付き合った私は、隆也にとってほかの女の子より特別なんじゃないかって思ってしまって。

……もし特別なんだとしたら、今は別れているとしても、いつかは私のところに戻ってきてくれんじゃないかって。

そんなことを考えてしまうから、隆也から離れられない。



なんとなく、財布の中を覗き、さっき隆也のために買ってきたものたちのレシート数枚を取り出す。


……これは、スーパーで夕食の材料を買った時のレシート。
これは、スーパーの近くの家電量販店でDVD-Rを買ったレシート。
これは、隆也のアパートの近くのドラッグストアで、シャンプーとか、ボックスティッシュとか、芳香剤とか、あと……避妊具を買ったレシート。


頼まれて避妊具を買うのもどうかと思ったけど、とくに抵抗があるわけでもなかった。
……とはいえ、私は結果的に、隆也がほかの女の人とエッチするために使う避妊具を買ってしまったということで……本当に虚しくなる。


いや、でもその避妊具のうちの二つは、さっき私のために使ってくれたし。じゃあいいか。



……ってよくない!
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