やさしい先輩の、意地悪な言葉
二山さんも、神崎さんと同じくらいかっこよくて、やっぱり女性社員からの人気は高い……けど。


「遥香ちゃんはなにしてんの? 洗いもの?」

「あ、はい。もう終わりましたけど……」

「俺さ、女の子が洗いものしてるの好きなんだよねー。なんか後ろ姿にそそられるっていうか。彼女できたら裸エプロンとかさせたいわー」

「は、はは……」

こういう性格の方なので、神崎さんの方が人気度は高い。

ただ、誰にでもフレンドリーに話しかけてくれるところが好きだという女性社員が多いのも事実で、実際私も、こんな私にも親しく話しかけてきてくれる二山さんのフレンドリーさは好きだった。

神崎さんはとにかくキラキラしていて少女マンガの王子様的な人なので、お話する時は必要以上に緊張してしまうのだけれど、二山さんは親しみがある感じで、ほかの男性よりはいくらか緊張せずに話せる相手だ。


「お、おふたりは、今日は飲みに行くんですね?」

私はおふたりにそう聞いてみるけど、おふたりは、と言ってる割には、目線はどうしても二山さんに行きがちだった。やっぱり二山さんの方が話しやすい。


私の質問には、二山さんが明るく答えてくれふ。

「そうなんだよ。久しぶりの飲みー」

「営業のみなさんで飲み会ですか? あ、それとも同期会ですか?」

「いや、俺と祐介のふたりだけ。最近キャンペーンが続いたりとかで疲れたしさ、たまにはふたりで息抜きしようぜ、みたいな」

「そうなんですね。いいですね」

なにげなく、いいですね、って言ったつもりだったんだけど……。


「お。じゃあ遥香ちゃんもいっしょに行く?」

え?
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