やさしい先輩の、意地悪な言葉
……雷に打たれたような衝撃だった。
いや、わかってる。自分がダメな女っていうことは……。都合のいい女っていう自覚はちゃんとあったから……。だからいつ誰にそう言われても、それは仕方ないことだと思っていた……。
でも、まさか神崎さんにそんなことを言われるとは。
あの、やさしくて素敵な神崎さんに……。
……呆然として、なにも言えずにいると、カランコロンという音とともに、二山さんが席に戻ってきた。
「あれ、なに祐介、起きたの?」
「起きたら悪いか?」
「起きたら悪いっつうか、寝るのが悪いわ。ごめんね遥香ちゃん、助かったよ。……こいつになにか言われてない?」
「は、はい」
言われました、と返しても二山さんを困らせてしまうだろうし、それに、自分の中ではまだどこかで、さっきのは私の聞き間違えか、幻聴か、はたまた気のせいか、とにかく事実であると認めたくなくて、現実から逃げようとしていたりもした。
ふと、となりを見れば、神崎さんはなにも言わず、ただこくこくとコップの水を少しずつ飲み続けていた。
そして、その間に二山さんが会計を済ませたり、イスの下から神崎さんのバッグを出してあげたりしていた。