やさしい先輩の、意地悪な言葉
……でも、待って。


なんだか思考がいい感じに動いてしまっていたけど、私、なにか重要なことを忘れてる気がする。



……そうだ‼︎

神崎さんに言われた、『ダメ女の代表例』って言葉。

あの言葉を発してしまったのは酔っ払っていたからっていうのはわかってるけど……



そもそも神崎さんは、もともと私のことを“ダメ女”と思っていたから、酔った時に本音を言ってしまったのでは? という疑問が残ってたんだった……。




「ちょっとトイレ行ってくるね」

神崎さんが席を立ち、その場にひとりになると、とたんに冷静になる。



……神崎さんがやさしいことには変わりない。むしろ、今まで思ってたよりずっとやさしくて素敵な人だ。


……でも、もしかしたら心の底では私のことを“ダメ女”だと思って……


いや、いいんだけどね。誰にだって本音と建前はあるし。うん……。



するとその時、スカートのポケットに入れていた携帯が震えた。


画面を見ると、二山さんからのLINEだった。
二山さんのLINEのIDも、神崎さんのIDと同じ理由で元から登録されてる。でもLINEのやりとりなんて今まで一度もしたことないのに、なんだろ?


メッセージを読むと。



『デート楽しんでる?』


……デ、デートじゃないです。



『あれ? 既読になるの早っ。
デート中に携帯いじっちゃダメじゃん☆』
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