やさしい先輩の、意地悪な言葉
だ、だからデートじゃないんですってば。二山さん、実は結構楽しんでませんか?


二山さんのメッセージに私が軽く動揺してるのを、二山さんは知るはずもなく、二山さんからはそのままぽんぽんとテンポよくメッセージが続けて送られてくる。


『あのさ、ちょっと言い忘れてたんだけど。
先週の金曜日に俺と祐介が飲んでたあの日の帰りのタクシーの中で、祐介がとなりでずっと、


ダメ女って言ったけど、そんなつもりじゃなかった


みたいなことをブツブツ言ってて』


……え……?



『その時はよく意味がわからなかったし、俺も酔ってたからめんどくさくてスルーしてたんだけど、月曜に祐介と遥香ちゃんの話聞いて、あれって遥香ちゃんに言ったことへの後悔だよな? と思って』


『まあ、俺には遥香ちゃんのなにがダメなのかわからないけど』


『金曜日に祐介に嫌なこと言われて、祐介のこと敬遠してるかもしれないけど、そんなわけで悪気はなかったっぽいし、嫌いにならずに今日一日付き合ってあげてください』


『悪気はないっていうか、酔うと思春期の中学生みたいになるんだよ。素直になれずに、ひねくれたこと言っちゃうみたいな』





『遥香ちゃんがかわいくて、意地悪な言葉を言っちまったのかもな』







……へ⁉︎




「お待たせ」

「ひゃい‼︎」

「? どうかした?」

「い、いえっ! なんでもないです‼︎」


二山さんが、変なこと言うから。
私は動揺して、席に戻ってきた神崎さんに対して裏返った声を出してしまった。
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