やさしい先輩の、意地悪な言葉
……隆也と会うのは二週間ぶりだっけ。
別れてからは、隆也が今日みたいに気まぐれで呼び出してくれた時だけ、会えるようになった。
私の誘いには、一切答えてくれないから、私が会いたい時には会えない。

でも、いいんだ。隆也とまったく会えなくなる方が辛いから。隆也が私を少しでも必要としてくれるなら、私はそれでじゅうぶん幸せだ。



その後、二回愛し合ったあと、私はようやく夕飯の支度を始め、隆也とふたり、遅い時間の夕食にした。



「あー、うまい。遥香の飯はほんとうまいわ」

隆也が肉じゃがを食べながらそう言ってくれる。ああ、うれしい。
料理は最初はニガテだったけど、隆也が『料理できる女の人が好き』って言ってたから、がんばって練習した。


「あ。あと、いろいろ買ってきてくれてありがと」

私がさっき渡したレジ袋の中身をゴソゴソと確認しながら隆也が言う。DVD-Rとか、シャンプーとか、その他生活用品の消耗系を数点買ってきた。


「ううん! またなにか買ってきてほしいものがあればいつでも言ってね!」

たとえささいなことでも、隆也に頼ってもらえるのがうれしくて、私はつい声を荒げる。


さて。夕飯食べ終わったらまずは後片付けでしょ。そしたらお風呂借りて……できたらいっしょに入りたいな、なんて。
そのあとは寝る前にもう一回するかな……なんて。


とかいろいろ考えてたら、隆也が言った。

「で、お前、今日は何時頃帰る? できたら飯食ったらすぐ帰ってほしーんだけど」

……ん?
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