やさしい先輩の、意地悪な言葉
「え?」
神崎さんから返ってきたのは、そんな意外な言葉で。
「神崎さんでも、そんなことあるんですか?」
「そりゃあるよ。この前だって……」
すると、神崎さんも棚からひとつ、犬の写真が表紙に印刷されたメモ帳を手にした。
神崎さんが手に持つのは、白いマルチーズが表紙のものだった。
神崎さんはそのメモ帳を見つめながら、眉を下げた少し悲しそうな顔で言った。
「この前だって、覚えていないとはいえ、いや覚えてないからこそ、なにも悪くない瀬川さんに嫌なこと言っちゃったって知って、ああ俺すごい最低だなって思った」
「そんな……」
あれはお酒のせいだから仕方ない。私があの場に出くわしたことも、本当に偶然だったし。
でも、神崎さんは顔を上げず、申しわけなさそうな顔で、手に持つメモ帳をずっと見つめている。
どうしよう……。神崎さんにそんな顔をさせたかったわけじゃないのに。
わけのわからない私の質問のせいで、神崎さんを暗い気持ちにさせてしまったみたいだ。
神崎さんから返ってきたのは、そんな意外な言葉で。
「神崎さんでも、そんなことあるんですか?」
「そりゃあるよ。この前だって……」
すると、神崎さんも棚からひとつ、犬の写真が表紙に印刷されたメモ帳を手にした。
神崎さんが手に持つのは、白いマルチーズが表紙のものだった。
神崎さんはそのメモ帳を見つめながら、眉を下げた少し悲しそうな顔で言った。
「この前だって、覚えていないとはいえ、いや覚えてないからこそ、なにも悪くない瀬川さんに嫌なこと言っちゃったって知って、ああ俺すごい最低だなって思った」
「そんな……」
あれはお酒のせいだから仕方ない。私があの場に出くわしたことも、本当に偶然だったし。
でも、神崎さんは顔を上げず、申しわけなさそうな顔で、手に持つメモ帳をずっと見つめている。
どうしよう……。神崎さんにそんな顔をさせたかったわけじゃないのに。
わけのわからない私の質問のせいで、神崎さんを暗い気持ちにさせてしまったみたいだ。