やさしい先輩の、意地悪な言葉

聞き間違いかな……。

「えと……泊まってく、つもりだったんだけど、ダメ？」

おそるおそるそう尋ねると。


「は？ なんで？ 俺、泊まってっていいなんて言った？」

「え、で、でも……」

いつも仕事終わりに急に呼び出された時はそのまま泊まらせてくれたから、今日もそのつもりで来たんだけど……。
……今日はダメ、だったかな……？


「でも、じゃねーよ。今日はこれから人が来るからダメだ」

「人？」

「ああ。仕事の同僚。今日、そいつが遅番でよ。日付変わる頃じゃねーと来れねぇっつぅんだよ」

仕事の同僚……。なんとなく嫌な予感がして、



「それって……女の子？」

そう私が尋ねると、隆也はあっさりと


「そう」

と答えた。



お、女の子……？ こんな時間に女の子が来るの？ その子は泊まっていくの？……とは怖くて聞けない。


私はなにも言えなくなり、ただ黙って隆也を見つめた。



すると、隆也は。

「なんだよ。俺がほかの女といっしょに過ごしたらいけねーのかよ」

「え、いや、あの」

「俺、お前のことフッたよな？ お前は俺の彼女じゃないよな？ じゃあ俺がいつ誰と会おうが遥香には関係ねーじゃん」

.バッサリと、そう言われた。


……でも、確かに、その言葉に反論はできなくて。