やさしい先輩の、意地悪な言葉
私は小食な方だからもう結構お腹いっぱいだし、それよりも具合の悪い神崎さんを早く休ませてあげたい。
「駅はすぐそこだから、歩けます? あ、でも駅からおうちは遠いですか?」
「……駅までは歩ける。最寄り駅着いたら家まではタクシー拾う」
「わかりました! じゃあ、おうちの前までは私も付き添いますので!
私、お会計してきますのでここで待っていてください」
「いや、いっしょに行ける」
「体支えましょうか?」
「大丈夫」
ふらふらと歩く神崎さんを心配しながら、私はお会計を済ませ、いっしょに駅まで向かおうとした。けど。
「……ごめん、駅までもたないかも」
「え?」
お店を出てすぐのところで、神崎さんが下を向きながら言った。
「もう、吐きそう」
「えっえっえっ」
どどどどうしよう……‼︎ ガマンしてください、は言っちゃダメだよね……⁉︎ それに、電車まではガマンできたとしても、電車の中で吐いちゃったらもっと大変だし……。でも、じゃあ、どうすれば……。
「さ、さっきの居酒屋さん戻りますか? トイレ借りましょう」
「……さっきは横になるの嫌だったけど、今は頭が痛いからどうしても横になりたい……」
「横にですか⁉︎ でも近くにそんな場所……」
……ないことはないけど、でもあそこは……。
「……あそこ行きたい」
そう言って神崎さんが指差したのは、私が今一瞬目を向けた……
ラブホ街。
「駅はすぐそこだから、歩けます? あ、でも駅からおうちは遠いですか?」
「……駅までは歩ける。最寄り駅着いたら家まではタクシー拾う」
「わかりました! じゃあ、おうちの前までは私も付き添いますので!
私、お会計してきますのでここで待っていてください」
「いや、いっしょに行ける」
「体支えましょうか?」
「大丈夫」
ふらふらと歩く神崎さんを心配しながら、私はお会計を済ませ、いっしょに駅まで向かおうとした。けど。
「……ごめん、駅までもたないかも」
「え?」
お店を出てすぐのところで、神崎さんが下を向きながら言った。
「もう、吐きそう」
「えっえっえっ」
どどどどうしよう……‼︎ ガマンしてください、は言っちゃダメだよね……⁉︎ それに、電車まではガマンできたとしても、電車の中で吐いちゃったらもっと大変だし……。でも、じゃあ、どうすれば……。
「さ、さっきの居酒屋さん戻りますか? トイレ借りましょう」
「……さっきは横になるの嫌だったけど、今は頭が痛いからどうしても横になりたい……」
「横にですか⁉︎ でも近くにそんな場所……」
……ないことはないけど、でもあそこは……。
「……あそこ行きたい」
そう言って神崎さんが指差したのは、私が今一瞬目を向けた……
ラブホ街。