強気な彼から逃げられません
もしかしたら、私を無理矢理食事に連れ出そうとしている怜さんも、本当は不安なのかもしれない。
この前、私をタクシーに押し込めた時だって、勢いに任せてのことだったって言ってたし。
会社のロビーで私を待っていた時も、実は私がどう反応するのか心配だったのかもしれない。
そんな考えが、私の余裕を引き出したのか、思わず繋いだ手に力を込めてみた。
自分から怜さんにそんな事をしたのは初めてで、必死で抑えている私の素直な気持ちが表に出てきたような気もした。
強く握った私の手に気づいたのか、一瞬びくりとしたように感じた怜さんの手。
そっと見上げると、眉を寄せながらも、口元はほころんでいて、それをよろこんでいるとわかる表情を浮かべていた。
「大正解だったみたいだな。これからはいつもこうして恋人繋ぎ、しような」
心底嬉しげに、それを喜んで受け入れてくれるような言葉。
「うん……」
怜さんが私を無理矢理つかまえた夜から積もり始めた怜さんへの想いは、少しずつ重みを増して、それと同時に、私の気持ちが、とても重い愛情へと形を変えていきそうだと気づいて。
不安になった。