強気な彼から逃げられません
「酒はいけるくち?」
不意に聞かれて
「……つきあい程度」
そう答える私に、
「そう言う奴ほどザルなんだよな。ま、今日はほどほどにしてくれよ。この後連れていきたいところもあるし」
「どこに?」
首を傾げる私に、怜さんはにやりと笑うと、そっと私に顔を寄せて呟いた。
「この後、俺んちに来いよ」
驚く私なんて意に介さず、 怜さんはにやりと笑うと、
「拒否権なし。芹花の家とは駅をはさんで反対側。かなりのご近所だぞ」
「……でも」
夜遅くに、男性の部屋に行くなんてこと、その先に何があるのかわからないほど子供じゃない。
そう、人参が大嫌いだとごねる子供とはわけが違う。
「私、まだ……」
小さな声で呟くと
「俺はずっと芹花を見てきて、もうこれ以上我慢できないんだよな」
「が、我慢できないって……」
「あ、悪い。欲求不満みたいだな、ひいたか? まあ、ひいて当たり前か」
くすくす笑いながら、料理よりも早くきたビールを片手に
「とりあえず乾杯しようぜ」
ほれほれ、と私にビールを手にするように促す。