強気な彼から逃げられません
今まで何度も悲しい経験をして、自分の求めるものを素直に求めようとする勇気がもてなくなっているせいか、目の前で私をじっと見つめている怜さんに、どう答えていいのかわからない。
「わ、私は……好きになりすぎて、重くなりすぎて……」
俯きそうになりそうな気持ちをどうにか叱咤して、ようやく怜さんを見つめる。
「恋人は、いつも……そんな私が面倒くさくなって……」
震える声と、途切れ途切れの言葉は、怜さんの表情を曇らせて、口元も歪ませる。
やっぱり、恋愛に一生懸命になりすぎる私の事を、想像していた女とは違うと思ってしまったのかな。
付き合う以前に、見限られちゃうのかな。
そんな後ろ向きな気持ちが溢れだしてきて、それ以上何を言えばいいのかわからないでいると。
「俺の事、存分に好きになって、重すぎるほど俺に気持ちをぶつけてくれ。そんな芹花を面倒くさくて捨てるようなバカなこと、しないから」
そっと私を抱き寄せて、耳元に呟いてくれた。
温かい胸元からは、とくんとくんと、怜さんの鼓動が聞こえて、その速さに気づく。
怜さんも、緊張しているようだ。
「俺は、受付で仕事をしている芹花を長い間見ていて、いつも一生懸命な笑顔に惚れたんだ。それに、駅で見かけても全く俺に見向きもしない。
まあ、その答えは、芹花が指にはめていた元カレからもらったに違いない指輪にあったけど」
はっと視線を上げると、私を見つめる拗ねたような瞳とぶつかった。
じっと私を射抜くその強さに、はっと言葉を失う。