強気な彼から逃げられません
私を気に入ってくれて、恋人として存在したいと言ってくれているけれど、やっぱり不安だ。
私が願う愛し方を受け入れてくれるのだろうか、そして、私はちゃんと怜さんの側にいてもいいのだろうかと、震える。
「俺は、芹花が恋人に向けていたような気持ちと笑顔をそのまま向けて欲しいとは思わない」
……やっぱり。
私の恋愛を傍で見ていたのならば、その重さや必死な様子を既にわかっているだろうし、怜さんにとってもそれは面倒くさいものなのかもしれない。
女性には人気があるだろうとすぐにわかる見た目と、弁護士という職業。
これまでだって、いわゆる大人の女性との適度な距離感での付き合いは数多くあったに違いない。
私のように、恋人との時間が一番大切で、好きになってしまったら一途に全てを向けてしまうような私は珍しいタイプなんだろうと、そう思うと悲しいけれど。
きっとそれが世の大多数の意見であり現実なんだろうな。
「怜さんは、私が今までのような気持ちのぶつけ方をするのが、嫌なの?」
今日一番の悲しい声が、私の口からこぼれた。
怜さんを見上げれば、その瞳は意外に優しくて、私を拒む気持ちは見えない。
その事が、ほんの少しの慰めになり、勇気となる。