強気な彼から逃げられません
何かを覚悟したかのような、それでいて私を守るような繊細な声。
見つめ合う瞳にはそれぞれ、お互いを思いやる気持ちと、もう離れる事はできないと染み入る揺るがない愛情が見える。
「思いきり、好きなだけ、怜さんを好きになっていいの?」
「当然」
「怜さんを、もっともっと私のものにして、思う存分に愛しても……」
「いいに決まってる」
ふふっ。
思わず、小さな笑いがこぼれてしまう。
これから、怜さんへの気持ちを隠さず、好きなだけ愛していいと言われたことで、体中に幸せが満ちてくる。
不安が全くないわけではないけれど、それでもやっぱり私には私の愛し方しかできない。
これまで何度も泣いて、そのたびに自分の恋愛の仕方に後悔を覚えたのに、その都度気づかされるのは同じ事。
私には、愛する人を一生懸命愛することしかできない。
そんな私を拒む人に傷つけられて、その傷は自分の存在価値すら見失わせそうに大きくなったけれど。
「芹花以上に、俺の気持ちは重いってこと、そのうち嫌でも知るから。 不安なんて捨てて、全力で俺に気持ちをぶつけて来い」
「ん……」
「芹花が俺を愛する気持ちの何倍もの重苦しい愛情で、身動き取れないほどにがんじがらめにしてやる。 密で濃い恋愛がしたい」
それはそれは甘い、そして怖くもある言葉の羅列に、私の体は震え、どうしようもないほどの優しく幸せな感情が溢れる。