強気な彼から逃げられません
怜さんに愛されるという事を、真摯に受け止めて、幸せを実感している。
今まで以上に仕事を頑張っている自分を不思議にも思うし、そんな自分を大切にしたいと思う。
体中に残された赤い華は、最初に抱かれた夜以来、何度か上書きされていて、消える事なく私への所有権を主張しているし、あの夜以来ずっと、私が眠るのは怜さんのベッドで。
一気に気持ちが怜さんに持っていかれて、離してもらえなくて、心は縛られて。
まるで私は怜さんお気に入りの人形のような日々を送っている。
『芹花の部屋、引き払えば?』
怜さんのその言葉に、私は嬉しさのあまり涙がこぼれそうになった。
大好きな人と一緒に暮らして愛情に満ちた毎日を過ごす事ができるなんて、夢のようだ。
私も、怜さんと一緒に暮らしたい、それは本音であり望んでやまない想い。
今朝、怜さんから言われたその言葉には、それが決定事項のような強さも感じられて、断ることなんてできない空気が生まれたけれど。
私はすぐに頷く事ができなかった。