強気な彼から逃げられません
日に日に強くなる怜さんへの想いと比例して、これまで経験してきた恋愛の悲しみも蘇ってくるせいか、素直な気持ちのまま、怜さんに私の全てを委ねる事が怖くて仕方がないのだ。
怜さんから強い愛情を注がれ、気持ちは安定しそれによって仕事も前向きに取り組めている。
けれど、全てがうまく回り始めた今、もしも怜さんとの関係が壊れてしまったら、うまくいっている私の生活全てが行き詰まり、私が失うものは怜さんだけではないと気づいてしまった。
そして怜さんとの関係に更に慎重になってしまい、私の家を引き払ってまで怜さんと一緒に住む勇気が持てずにいる。
怜さんと別れた未来を想像すると、途端に不安定になり、やっぱり私は弱いままだなと実感する。
私を愛していると、そう言ってくれる怜さんを信じているし、私の気持ちはとっくに怜さんに取り込まれていると自覚しているけれど、だからと言ってこの先ずっと今の状態が続くと思えるほど私は強くない。。
怜さんの気持ちが冷めてしまい、そして、私が怜さんへ向ける重い感情に、彼が嫌気をさす可能性もある。
だから、私は素直に頷けなかった。
怜さんと寄り添い、一緒に暮らしたくてたまらないのに。