『あいしとうよ』『ごめんね』
そう、私達は(仮)で繋がっていた。ゆうちゃんの声を聞いてから私から言った言葉だ。


まだ会ってないから(仮)彼氏でもいい?ほら、友達に紹介する時に彼氏!って言っちゃえば会わせろ!とかどんな出会いだった?って言われてまだ会ってないのに付き合ったのバレるじゃん?だから、会ってから正式に付き合おう?(仮)じゃなくてね。


適当にも程がある。私の都合の言いように並べた言葉たち。それでもしんやは電話越しでもわかる、笑顔で「わかった」って。会ったらちゃんと付き合おうね。あった時記念日やね。


優しい人だった。自分の醜い心が丸出しで恥ずかしかった。でもそれほど私にとってゆうちゃんの声は大事だった。



しんやは家につくとまっすぐに自分の部屋に行った。私は元気のないしんやに「何かあった?」とわざとらしいけど、しんやの口から話すかもって思って聞いてみた。「んー、何もないよー、どしてー?」しんやは優しい嘘をついた。



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