貴方が好き!
目の前に数字が浮かび、カウトダウンが始まる。
10、9、8、と数字が減っていく中で
相手は必死に何かを呟いていた。

それは、何かの呪文のようで、
あいつの周りに出ている【魔力】が膨らんでいく。

色からして炎……と雷だな。

複合魔法とは、中々の使い手らしい。
が、俺には関係がないな。

数字が0になると同時に相手は【魔法名】を叫んだ。


「フィライト!」


炎のような塊がこちらに飛んでくる。
俺はにっこりと笑いながら手を横にふった。

バンっと炎のような塊が弾ける音がして、
消えた。
跡形もなく、消えた。

相手は俺が魔法を唱えずに消えたことに驚いて、
呆然と突っ立っていた。

おいおい、そんなとこでボーッとしてたら
自分から虐めてください、
って言ってるようなもんじゃねぇか。

ここは日本じゃない。
異世界なんだ。

人の命も、地球より圧倒的に軽いんだよ。

そんな、ことを頭の中で考えながら
相手を【魔力】で押さえつける。


相手は目を大きく開けながら、床に崩れた。

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