④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
第3話 究極の2択
「いいんじゃない?別に」
都内のシティホテルの一室。
今日は、大神と松嶋の交際を内外に示すための、オフィシャルな社長公認デートの日。
ベッド脇に腰掛け、熱心に妊娠雑誌を読みふける松嶋七緒は、大儀そうに答えた。
「でも、君だって嫌だろう!?
俺とその、『結婚』だなんて」
大神はずいっと彼女に詰め寄ると、膝に置いてある雑誌をサッと奪った。
社長の提案には、松嶋だって迷惑しているはず…
そう踏んだ大神は、まず彼女を切り崩しにかかった。
交渉事や根回しには、少なからず自信がある。特に相手は女性、舌先3寸で丸め込むのは、彼の最も得意とするところだ。
お気に入りの彼女が嫌だと言えば、社長だってきっと考え直すに違いない。
ところが…
「あら別に?私は構わないわよ。
これまでと一緒、フリだけしてればいいんだし。
そもそも、アンタと夫婦やる気なんかサラサラないからね~」
うぐっ…
喉を詰まらせた大神から雑誌を奪い返すと、彼女はまた読んでいたページを探し始める。
大神の話など、まるで聞く気がないらしい。
「いや、そうは言っても結婚となると、世間的にも色々あるだろう。
子供だって大きくなったら
“あれ?ウチ、何か違うな”
と思う瞬間が必ず来るだろう。
そうすればきっと生育にだって問題が…」
都内のシティホテルの一室。
今日は、大神と松嶋の交際を内外に示すための、オフィシャルな社長公認デートの日。
ベッド脇に腰掛け、熱心に妊娠雑誌を読みふける松嶋七緒は、大儀そうに答えた。
「でも、君だって嫌だろう!?
俺とその、『結婚』だなんて」
大神はずいっと彼女に詰め寄ると、膝に置いてある雑誌をサッと奪った。
社長の提案には、松嶋だって迷惑しているはず…
そう踏んだ大神は、まず彼女を切り崩しにかかった。
交渉事や根回しには、少なからず自信がある。特に相手は女性、舌先3寸で丸め込むのは、彼の最も得意とするところだ。
お気に入りの彼女が嫌だと言えば、社長だってきっと考え直すに違いない。
ところが…
「あら別に?私は構わないわよ。
これまでと一緒、フリだけしてればいいんだし。
そもそも、アンタと夫婦やる気なんかサラサラないからね~」
うぐっ…
喉を詰まらせた大神から雑誌を奪い返すと、彼女はまた読んでいたページを探し始める。
大神の話など、まるで聞く気がないらしい。
「いや、そうは言っても結婚となると、世間的にも色々あるだろう。
子供だって大きくなったら
“あれ?ウチ、何か違うな”
と思う瞬間が必ず来るだろう。
そうすればきっと生育にだって問題が…」