④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
「あらぁ…そこを上手くやるのが、貴方の役目、でしょ?キレ者の大神くん?」
嘲るような松嶋の言葉に、大神はぐぅっと喉を詰めた。
「大体さ?
私、子供には最初っから事情を話すつもりでいるの。
まあ、最低限貴方の面子を立てて、世間体だけは演じてあげるけど?」
松嶋は爪を磨く手を止めて、大神に向かって優雅に微笑んでみせた。
「言っとくけど私、北九州になんて一緒に行くつもりはないからね」
「そんな…」
「あとね、私に手ェ出したら。
……コロすから」
彼女得意の、艶然とした凄味のある微笑。
「ひ…」
「じゃあね、お休みなさ~い♪」
自分の言いたいことだけ言うと、ダブルベッドのど真ん中、いっぱいのスペースに仰向けに寝転んだ。
スヤスヤと寝息を立て始めた松嶋を尻目に、大神はすごすごとシャワールームに向かう。
ヒドすぎる。
いつもながら、俺のプライドはズタズタだ。
…やはり俺は、この女が死ぬほど苦手だ。