④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
第5話 クマさんの迷い
旅行の日、思いきってクリスマス・イブに赤野燈子を誘いだし、改めて“告白”をした結果……
何と、メデタクお付き合いできることになったからだ。
『熊野さんだったら…』
恥ずかしそうに俯きながら、彼女はオッケーの返事をくれた。
彼女のことは、3年前に新人として課に入ってきた時からずっと気に入っていた。
深い意味はない。
単に、小柄で童顔、ムネがデカイという、ありがちな彼のタイプに、どストライクだったからだ。
なぜ彼が突然行動に出ることを決めたのか。
きっかけは、長期出張から帰ってた途端、同期の出世頭、大神のバカの昇進と、結婚の話だった。
彼は、こんなふうに考えた。
__世の中には、“コイツだけには負けたくない” と思えるヤツが必ずいる。
俺にとっての大神がそれだ。
ヤツはどうだか知らないが、トーコちゃんのことでは、抜け駆けしない、させないのフェアな勝負をやってきた。
だが奴は、自らステージを降りた。
大神が、社長の浮気のダミーだということは知っている。ダミー交際の末のダミー婚なんて、全くヤツもどうにかしているが…
これでもう、ヤツに義理立てする必要はなくなった______