④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
 今日の目的は叶った。

 が。

 実は彼にはもう一つの決心があった。
 もう二の轍は踏まない。
 彼は、持てる勇気を振り絞り、思いきってそれを告げた。

「…そ、それで…今夜なんだけど…」
「はぇ?」

「その、そろそろ…さ。今夜一緒に、居られる?君さえ良ければだけど…さ」

 キョトンと己を見つめる視線に、熊野は思わず目を逸らした。

 やがて。

 あっ、彼女は小さく叫ぶて、真っ赤になって俯いた。

 彼女は明らかに迷っている。
 それが熊野にはたまらなく辛かった。

__トーコちゃん。
 君がいった男のように、俺は上手くは誘えないけど。
 それでも俺は…君の、本当の気持ちを知りたい__

 祈るような気持ちで彼女を見つめる。
 と、彼の思いが通じたのか。

 彼女は決然と頷いた。



 「ウワー、スゴーイ。なーんか緊張しますね~」

 さっきから、彼女はやたらとハイテンションで喋いでいる。
 随分と嬉しそうだ。

 思いきって誘って良かった。
 こないだだって彼女は、嫌がっていた訳じゃない。
きっと、本当に驚いていただけだったんだ。

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