④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
 しかし…シティホテルに二人でチェックイン、というのは案外恥ずかしいものだな。 

 眠たそうなフロント係に、どこか後ろめたい気分を覚えながら、ツインルームを手続きしたのを思い出す。

 緊張を解すため、ミネラルウォーターのペットボトルを一気に空ける。
 言っておくが、彼は童貞ではない。

 それから彼はベッドに腰掛け、さっきからずっとカーテンの外を眺めている彼女の背中に近づいた。

「トーコちゃん」

 そっと肩に手を置くと、ビクッと驚いて彼女は身体を揺らした。

「えっと…、あの…」 
 少し怯えているようだ。熊野が隣に座ると、燈子はぎゅっと身を固くした。

「あ、そうだ!おフロ。
 ね、オフロ入った方が良いですよね?ちょっとニオウしね…
 ね、熊野さ…ん…」


彼女がまた逃げ出す前に、熊野はその唇をしっとり塞いだ。
 角度をゆっくり変えながら、出来うる限り柔らかく優しく。

 やがて彼女が小さく呻くと、ツゥッと唇を離す。

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